三国志の魏延について質問です。 魏延って三国志演義では、蜀を裏切って馬岱に討た...

三国志の魏延について質問です。

魏延って三国志演義では、蜀を裏切って馬岱に討たれましたが、

実際はどうなのですか?本当に裏切ったのですか?

孔明死後の魏延の行動については、別に「蜀を裏切った」ということではないと思い

ます。



魏延は、生前の孔明に対してなにやら面白からぬ感情を抱いていた節は見受けられますが、それでも孔明が生きている間は終始蜀に対して忠実に仕えてますし、また孔明が死んだ後も、別に蜀に対して謀反を起こしたというわけではありません。





この辺よく誤解されているところですが、魏延は孔明の死後、なにも蜀漢王朝や成都

にいる皇帝に対して謀反を起こしたわけではなく、魏延とともに北伐に同行していた

丞相長史（幕僚長、副長官クラス）の楊儀を討つために兵を挙げたのです。



魏延と楊儀の2人は、孔明が生きていた時からお互いに仲が悪く、孔明が死んだ後の軍勢の処置についても、楊儀が魏延に一言の相談もなく遠征軍を全軍漢中に撤退

させようとしたため、これに怒った魏延が、日ごろからたまっていた鬱憤もあってつい

に楊儀討伐の行動に出たのです。



この時魏延は、成都の朝廷に対して「楊儀が朝廷に謀反を起こした」という上奏文を

送っています。

それとほぼ同時に魏延の行動を察知した楊儀も、朝廷に対して、「魏延が朝廷に

謀反を起こしたので、これを討伐する許可を与えて欲しい」と願い出ています。





２人から相反する内容の上奏文を受け取った成都の朝廷は、結局楊儀の内容を本物とみなし、魏延の上奏文の内容は偽りであるとして、楊儀に対して魏延を討伐するよう命じます。



結局その後、魏延は楊儀が差し向けた討伐軍に追い詰められ、部下の兵士たちも散り散りになって四散した後、最後は馬岱の軍勢に追いつかれて首をはねられる訳です。





従って形式的には、魏延は「蜀に反旗を翻した謀反人」ということになるのですが、

しかし実際には、この時魏延は蜀の朝廷に対してなんら刃向かうような行動はとって

おらず、自分に無断で軍を退却させようとした楊儀をただ討とうとしただけなので、

厳密には「蜀を裏切った謀反人」とは呼べないわけです。

従ってこの時の行動をもって、魏延が蜀を裏切ったと考えるのは間違いだと思います。







ちなみに、三国志演義をベースに描かれた横山光輝の漫画「三国志」の単行本第59巻には、孔明の死後、楊儀の討伐軍に追い詰められた魏延が、「孔明の指示で偽って

魏延に従っていた」という作中の設定にもとづいて描かれている馬岱に対して、「このさいいっそのこと魏に降ろうか？」と相談を持ちかけ、それに対して馬岱が「将軍ほどの勇者が魏に降るのですか！」と魏延をたしなめるシーンがありますが、もしこの時魏延がそのまま魏に降っていたら、その場合は「蜀を裏切った反逆者」という扱いになっていたでしょう。ちょうど、関羽への援軍拒絶の責任を追及されて魏に降った孟達のようにです。



ただし、作中では魏延は結局魏には降っていませんし、そもそもこの漫画のべースと

なった三国志演義での魏延に関する描写自体がフィクションであり、「正史三国志」にはこのような描写は存在しないので、いずれにしても、魏延は蜀に対する裏切り行為

は行なっていないと言えます。繰り返し言いますが、魏延が反旗をひるがえしたのは、あくまで楊儀が無断で行なった撤退行動に対してだけです。

裏切った訳ではないでしょう、魏延はずっと蜀の忠臣のままだったと思います…。